III、楠葉の再々開発
大野 正義 (平成26、3、18、改訂)
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◎間(あい)の宿・楠葉 (平成26、3、18)
間(あい)の宿の歴史を持つ楠葉は、大量の老人を抱え込む時代になって断然その利点が見えてきた。ベッドタウンから終の棲家の街へと変身したからだ。しかし駅前の再開発の中身を見れば失敗だといえる。
まるで物販中心主義の貸家業ではないか、これでは蹴つまづくに決まっている。3月12日のグランドオープンで、百円均一の店が離れ小島で孤立しているのには驚いた。理由は多分家賃が高すぎてメインの集積の中に入居出来なかったに違いない。飲食店はともかく、進出した物販の店舗は高家賃に耐えられないに決まっている。この先が思いやられるよ、京阪さん。
中之島線延長という大失敗に加えて、樟葉駅前の再開発においても失敗を重ねるつもりらしい。僅かに、映画館だけは正解です。
(注)昔の「間・あい・の宿」は淀〜枚方間の狭い圏域でのものでしたが、現在では京都と大坂と言う大都市間の圏域のスケールでの「間・あい・の街」になっているという意味です。
◎樟葉駅前に欲しい施設
癒し系サービス機能をコアに再々開発を
物販主義は時代遅れだよ
1、保育所(普通の保育所、病児保育、臨時・緊急保育、等々)
2、婆さんに限定したダンスホール(イケ面で釣れ)
3、スーパー銭湯(昼寝室を特別料金で設置)&低水準のリハビリ的運動設備も。
4、麻雀屋(健康麻雀が老化防止に有効)
5、歌声喫茶(軍歌」・労働歌・抒情歌)
6、パブ(英国の直輸入でなく日本的に焼き直し)
7、FM枚方のスタジオの移転&地元TV局(KーCAT)のスタジオの移転
8、高級・高額のデイ・サービス施設
9、小規模の寄席や小劇場(芝居小屋)
◎「癒し」で駅前再開発を (平成21,12,9)
人間の移動欲望は根強い。存在確認と位置確認を常に必要とする人間にとって根源的なものだ。しかし、元気な高齢者や中年のオバちゃん連中が時間を消費するのは居住地から遠く離れた場所ばかりではない。居住地の駅前には気軽に出かけられる便利さがあって日常的な頻度の高い移動先である。このような駅前を単純な飲食と物販系の展開から「癒し系サービス機能をコアに再々開発」してはどうか、というのが提言の柱である。
これら巨大住宅地はかってベッドタウンと呼ばれた。しかし今では時間資源を豊富に持つ定年退職世帯の定住地域に変身しつつある。これら自由人の人生充実行動をどう理解すればよいのか。高齢者の余暇消費を念頭にした商品開発でよく知られているのは旅行市場だろう。下を見ないで上ばかりを見ている典型例だ。長短期の差異はあっても過大な支出を伴う非日常的な消費行動を狙っている。また、日帰り圏域内でのハイキングや史跡めぐり等であっても、金と健康以外に諸事に亘る問題意識の高さに恵まれたエリート高齢者に限られてしまう
具体的な提言だが、大都市近郊の巨大な住宅地を後背地とする駅前商業集積にはスーパー銭湯をコアにしたヘルスセンター的なレジャー複合施設を中核に据えたい。大阪では京阪沿線の樟葉駅前・香里園駅前、阪急沿線の千里中央駅、泉北高速鉄道の泉ケ丘駅等々だ。深い後背地を持つローカル圏域内の交通動線の起点になっている駅前でもある。
このレジャー複合施設には会員制の個室ロッカールームを設け、そこに洗面所・トイレ付きの仮眠施設を設ける等、高額料金を取るハイクラスから単純な入浴料金だけの低クラス迄差異が大きくて良い。もとより小舞台も備えて欲しい、この舞台はドサ回り劇団の為の舞台ではなく地域住民が発表する為の舞台を想定している。空席の目立つシネマコンプレックスを一工夫改良すればよい。
コア施設の周辺にはぜひボランティア・ダンスホールが欲しい、キャバレーでは決して無い。ボランティアのお婆ちゃんダンサーが活躍する会員制のダンスホールの構想だ。お手本の事例がある。その昔の麻雀屋は現役サラリーマンによる不健康な賭け麻雀で毒されていたが、現在は高齢主婦達の間で大流行している健康麻雀教室に大変身している。漢方薬喫茶、歌声喫茶、懐メロ喫茶等々アイデアはいくらでもあろう。
昨今、マンション業界の販売不振が伝えられているが、駅の至近距離において面積や販売価格に工夫をこらして高齢者限定のマンション立地に焦点を絞り、それにふさわしい付加価値を計画して欲しい。
家族向けの広くて高価なマンションは的外れだ。私自身、駅から遠く離れた所に所有していた庭付き一戸建てを売却し、駅付近の中古マンションに引っ越したが、今やこの流れはうねりとなって加速している。不動産業者の話によれば「駅から遠くの広いマイホームは売り難くなっており、一方駅近くの狭く安い中古マンションには希望者が殺到している」という。要するに三世代同居のご隠居様として庭付き一戸建て住宅に永住出来るご身分にはなれない時代に変わっている。
◎楠葉とは中間圏域なり (平成21年 執筆)
楠葉のアイデンティティは中間性にある。
楠葉都市圏は京都と大阪の中間に位置しているが、両都市圏の外縁部として両都市圏に連坦・吸収されておらず、非コンナベーション圏域として、独自性・自己完結性の強い地域である。その圏域は八幡市や京田辺市にも及んでおり、広域の後背地を持っている。いわば新しいタイプの広域圏が形成されつつある。
近世においても、京街道(概ね淀川左岸堤防)の枚方宿と淀宿という二つの「本宿」の中間位置にあって、町楠葉には「間の宿」が存在した。また、それは「立場茶屋」とも別称されたが、ようするに中間・休憩所という意味である。このような地理的位置の特徴は楠葉の持つ根源的なもので、楠葉のアイデンティティそのものといえる。
(史料)『海陸并道中記』(筑紫野市、浜池文書)。福岡藩で参勤交代の旅宿を職掌した藩士・堀作五郎が天保4年に書き残した史料で、裏表紙には『御飛脚心得書』とも記載している。この史料には、枚方と淀の両本宿の間に「楠葉 米屋友右衛門」との記載があり、町楠葉が「間(あい)の宿」であった事が判る。なお、米屋・友右衛門の御子孫は、町楠葉1-32-1の米谷三男氏。
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品川弥二郎作詞の「とんやれ節」も有名ですね、「♪宮さん宮さん♪」の歌ですがな。「♪お馬の前にひらひらするのは何じゃいな、とことんやれ、とんやれな♪」が一番ですが、何番目かに「♪伏見、鳥羽、淀、橋本、楠葉の戦いは、とことんやれ、とんやれな♪」と楠葉地名が出て来ます。最南端部ながら戊辰戦争の戦場になり、町楠葉は全焼した歴史があります。この限りでは楠葉は京都圏のようですね。また、楠葉の人々の嫁入り支度は京都で整える事が多いとも聞きます。気候面でも枚方駅と樟葉駅とではかなり違いますね。楠葉の気温の方が低い京都型です。でもね、楠葉は河内国です、大阪都市圏の吸引力に強く引かれています。その結果、中間地域の性格を失う事は無かったらしいです。
◎圏域形成途上の地域
開発途上国という言葉がありますが、楠葉圏は「圏域形成途上地域」です。新しい圏域形成の途上にあるといえども未熟・ファジーの印象が拭えません。確かに、先行標識が認められるものの理念も輪郭も不鮮明です。いくら「楠葉ブランド」を自称しても概念の濃縮度が不十分で、自己形成の端緒を掴んだばかりです。積極的な意図信号や誘導サインの発信出力が弱いのです。原因は京阪電鉄のカルチャー「へっぴり腰」にあります。
とにかく、楠葉圏域の現況は大阪の都心部マンションに回帰するタイプとは異なっている。サラリーマンの「郊外ベッドタウン」から時間資源を豊富に持つ定年退職者の「定住地域」に移行しつつある新タイプです。「ベッドタウンから定住タウンへ」、しかも会社の縛りから解放された自由人のシルバータウンです。
◎中心業務地域の地位低下
高度成長時代の中心業務地域の地位は今日では大きく低下している。今後も相対的には低下する。原因はパソコンと旧働き蜂が今何処に住んでいるかを考えれば明らかであろう。パソコンは家庭内にあり、外部への情報発信に不自由していない。しかも退職人材は楠葉に根を張っている。
一方、人間相互の対面交流は重要過ぎる程重要だが、これが楠葉には欠けている。つまり、楠葉圏域は人材集積のコア圏域になりつつあるが、その凝縮運動が弱いのです。
◎樟葉駅前の意義
年金生活世代と若者や現役世代とでは行動のパターンがかなり異なる。樟葉駅前の持つ吸引力は老人・主婦・子供に対し特に大きい。更に、休日における現役サラリーマンや若者にも吸引効果がある。とにかく大阪市内の中心部まで出かけなくても、半ズボンのまま出かけられるのが便利だ。大阪市内のような中心業務地域ではないから、服装も改まらなくても良い。
この樟葉駅から発生する圏域内交通の基幹動線は「市道楠葉中央線」という東西方向の道路で、量的にも最大の動線で圏域内バス交通網の基幹ラインである。ヒンターランドの奥行きは深く、樟葉駅前のバス・ターミナルに掲出されたバス路線網がそれを示している。田辺に迄及んでいる。
◎元・働き蜂の出勤先は?
樟葉駅前に「新パブ」が欲しい。自己顕示と交流の場所が必要です。シルバー人材センターだけが受け皿ではない。ボランティアに出かけるだけでは不満です。つまり、今は行き先が無いに等しい。
◎老人性の自己顕示
英国のパブ直輸入ではなく、パブを参考に日本型独自パブを連想してくれ。
◎自己駆動力の弱さ
楠葉圏域の中間性が自己開示するとしても、自然放任では「自己駆動力」が大変弱い。積極的な「意味付与」が必要である。その手法として当面はモデル誘導が不可欠である。そうすればやがて「姿勢反響」も期待出来る。
◎京阪電鉄の決断力
電鉄会社の視点変更だけが無い。高齢者の文化消費行動に着眼せよ。物販中心の再開発はやめろ。
(例) @ 婆さん専用のダンスホール A 健康麻雀ホール B 東洋医学健康センター(リハビリ、針・灸マッサージ等々)。
運営はエリート意識をくすぐるような高額会費の会員制度の導入や共済制度の導入も。会員相互の助け合い活動も併用せよ。声かけ・安否確認など)。
◎マスタープランの中心主題◎
1、中心ターゲットは定年退職者とその伴侶の文化消費やレジャーにあり。及び主婦と子供。若い女性はメインにならない。
2、定年からボケ老人になるまでの長い人生、その過程に焦点を合わせる。
◎京阪電鉄批判
「へっぴり腰」これがこの電鉄会社のカルチャーらしい。リスクに及び腰で事業展開に出遅れるのがこの会社の特徴だ。樟葉駅前開発もその典型例だ。
現役時代、私は歴史の研究で飯を喰わせて貰えるという幸運にめぐまれた。この稼業では私鉄・京阪電車の歴史そのものが郷土史になるので、京阪電車の社史研究にも機会を得た。
その昔、京阪電車に対し奈良電との合併話があった時、それを断っている。奈良電の現在は近鉄京都線(京都〜奈良)である。このラインも押さえておけば、ヒンターランドの奥行きも深く、楠葉での事業展開にも大きな利点・影響があったのにと悔やまれる。
その点、ラッシュ時に開くドアーの数を多くするとかするとか、窓を大きくする等々の技術面での創意工夫には優秀なものがあり、技術陣は高く評価出来る。
◎成功例
飲み食い関係の店舗展開は概ね成功してるが、この種の店舗は汎用性があるからでしょう。老人や子供の行き場所は飲み食いする所以外にほとんど見当たらない。生鮮食料品販売に特化して夜12時迄開いているダイエーは大歓迎、大成功ですぞ。